四白流星の綺麗な馬体が特徴で、下総のセリで高額取引されたクモハタ。デビュー前
後には蹄叉腐爛の重病に悩まされた。そして、新馬戦勝ちの二日後にダービー出走とい
う、むちゃくちゃなローテーションを組まれる。これは、ダービーに出走しないと、この馬を
買った意味の半分を失ってしまう、というオーナーの意向だった。蹄の状態と体調は最悪
であり、痛みを抑えるために局部注射を打ったり、鼻から豆乳を注入したりと、もの凄い
手法を取っての出走は実を結び、1馬身差勝利。病気のことはファンの間でも知られてお
り、当然ながら人気が低く、結果驚愕的な大穴馬券を引き出した。
極めて繊細な神経の持ち主で、飼葉桶の中にネズミの糞が少しでも混ざっていると口
にしなかったと言われている。
晩年伝染性貧血に侵され、最後は薬殺処分となった。しかし、その産駒たちはあらゆる
大レースを制覇。内国産種牡馬としては、この時代にしてたいへん珍しく活躍した。昭和
のサンデーサイレンスとも言うべきであろうか。 |