名コピー・1

スローペースは先行有利
ハイペースは後方有利
 競馬を予想する人間にとっては、大前提の法則。ペースが遅くなると、前の馬たちは楽に
なるので、少しでもゴールに近い位置にいる馬たちが有利にある。逆にペースが上がると、
前にいる馬たちには負担がかかってしまい、ゴール前でスタミナを消耗して、一気にバテて
しまう。ただし、過度のハイペースでは、前も後ろもバタバタになり、結局は前にいる馬が有
利になることもある。

 レースの途中で体勢が決まってしまう人間のトラック競技と違い、最後の直線で一気に前
と後ろが逆転してしまうかもしれないスリル性が、競馬の面白さを演出している。

競馬に絶対はない
何が起こるかわからないのが競馬
 競馬に関わらず、全てのスポーツに当てはまることではあるが、いくら圧倒的な人気に祭
り上げられても、一番人気の馬が負けてしまうシーンは、我々も何回ともなく目にしてきた。

 単勝1.1倍で敗れたスプリンターズSのタイキシャトル。悪夢の4コーナーで故障が襲った
天皇賞のサイレンススズカ。同じく天皇賞で伏兵馬に足元をすくわれたシンボリルドルフ。
ダービーで記録的な人気を集めて敗退したハイセイコー。菊花賞史上最高の単勝支持率を
集めて逃げ脚が止まったメイズイ……。数え上げるときりがない。

 客が金を賭けているだけに、その人気が高くなるほど騎手へのプレッシャーは高くなり、
意外な結果が起こされる。そして走っているのが馬だけに、人間の常識では計り知れない
部分で事件は起こるのだ。

桜花賞は大外不利
天皇賞(秋)は大外不利
 今でこそ、出走頭数は18頭までに制限されているが、オープンコースで行われる競馬は、
単に走る距離だけで最内と大外ではだいぶ違う。脚質などにより一概に内枠有利とはいえ
ないが、上記のGTレースが行われる、阪神芝1600や東京芝2000は、スタートしてからす
ぐコーナーに入るので、どうしても外枠は、まともにスタートすると他の馬より出足が遅くな
る。従って、有力馬が外の枠に入ると、それだけで倍率がいくらか上がるのが常だ。コース
によって枠の有利不利があるのは、競馬の欠点であるが、逆に予想を複雑にさせ面白くす
る一面を持つ。

 ただし東京2000は、最初のコーナー入り口までの湾曲が緩和され、多少は内外の有利
不利が減少した。そして、阪神1600は、再来年からコース形態が変わり、第3・4コーナー
だけの向こう正面スタートとなるが。

名馬は皮膚が薄い
 今まで競馬界に大きな足跡を残してきた名馬達は、きまってその皮膚が薄いといわれる。
これはパドックで馬を見る時の一つのポイントとなる。

 当たり間のことだが、馬は走りながら汗をかく。旨く汗をかいて体温をすばやく調整するこ
とで能力を最大限に引き出すと言われている。皮膚が薄いほうが、より熱交換が素早くでき
るのだ。

無事是名馬
 競走馬とは常に故障との戦いである。あれだけ細い4本の足で、自己の500キロ前後の
体重と、50キロ以上の斤量を支えて全力疾走するのだから、無理もない。

 これから、という馬が骨折や屈腱炎などで競争生活を終えるのは良くあることで、多くの競
馬関係者やファンを何度もガッカリさせた。最近ではキングカメハメハ・タニノギムレット・クロ
フネ・アグネスタキオン・サニーブライアン・フジキセキなど…。故障を乗り越えても、今まで
の力を出し切れないのは良くある話で、ケガする前以上の力を出せたのはほんの一部。

 引退する最後まで、元気に走り抜いてこそ栄光の記録は塗り替えられてきた。またシンボ
リクリスエス・ステイゴールド・ファレノプシス・オグリキャップ、生涯最後のレースを、ラストラ
ンと自覚して花を飾れた馬たちの引き際は、実に華麗であった。

皐月賞は最もはやい馬、
ダービーは最も運がある馬、
菊花賞は最も強い馬が勝つ。
 皐月賞は牡馬クラシックの中でも一番短い2000m。当然スピードが最優先される。また直
線の短い中山の小回りコースなので、ジリ脚で迫るような馬は不利。器用に、小足を素早く
使える馬が勝てるようになっている。また、「はやい」の意味には、成長・仕上がりが早いと
いう意味があるとも言われている。

 ダービーは、過去最大32頭ものフルゲート数を誇り、実力があっても展開や馬込みに巻か
れて力が発揮できないことがあるのは明らかであった。ただでさえ出走するのが難しいダー
ビーで、このような超多頭数立てのレースを先頭でゴールするのは、確実に運が必要であ
った。しかし、近年は最大18頭に制限され、ある程度は実力で展開を圧することもできるよ
うになり、人気馬が優勝するケースが増えてきた。

 最長距離の3000mで行われる菊花賞は、ちょっとした運や、一瞬のスピードでの誤魔化
しが利かないと言われている。真に馬の強さ、つまりスピードとスタミナの両方が備わって
いないと、この長距離を制するのは難しい。また、前2走と違い夏を越してから行われるのも
特徴の一つ。競走馬として更に身が入り、春先に間に合わなかった馬たちも台頭して、たま
に大波乱を起こすが、後に春以上での力を発揮し古馬となって大活躍したケースも多い。

 各三走違った、競争馬としてのセンスを求められるだけに、全レースを勝てた馬は「三冠
馬」と称され、競馬界最高の誉れを与えられるのだ。


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