勝利ジョッキーインタビューで、アナウンサーに「この喜びをまず誰に伝えたいですか?」と
聞かれた際の返答。
ジャパンカップが世界的に認知されるようになって、国内にも有名な海外ジョッキーが度々
来日するようになって来た。そこで柴田騎手を困らせた彼らの質問が、「君は何回目のダー
ビーを勝ったんだい?」 各国各々のダービーを勝つことは、世界基準で言えばいわば名刺
代わりのようなもの。ダービーというキーワードは世界共通の合言葉だ。
1988年ダービーフェスティバルで、「ダービーを勝てたら騎手をやめてもいい、というぐらい
の気持ちで乗らないとダメですね」と発していた柴田騎手。さらに5年後1993年のダービ
ー、彼はより円熟味を増しすっかりベテランの域に入っていた。跨ったのは一番人気に支持
されたウイニングチケット。直線入り口では前がぽっかり開いたところを果敢に突っ込み、ビ
ワハヤヒデらの猛追を必死に粘りきった挙句手にした悲願のタイトル。競馬ファンも皆、ベテ
ランジョッキーの晴れ姿を心から祝福した。彼自身も、この勝利でやっと一人前のジョッキー
になれたと心から思ったのかもしれない。 |