NHKマイルカップ・ベスト3

第3位
2005年 ラインクラフト(福永祐)
 桜花賞で、シーザリオなどと際どい競馬をし、戴冠を果たした若き女王。
  その覇者はオークスへと進むのが一般的だが、
  彼女はその道をあっさりと捨て、マイルGT連勝を目指した。
  しかし同じマイルでも、その道は過酷なもの。
  厳しいローテーション、初の輸送、直線距離の延長、牡馬との対決。
  それらの困難を彼女は打ち払った。
  同じく桜花賞上位のデアリングハートを引き連れ、
  最先着の牡馬に約2馬身をつける完勝。
  最近の牝馬強しの傾向は、今思えば、ここから始まったようだ。
第2位
2001年 クロフネ(武豊)
 初めて外国産馬に出走権が許されたこの年のダービー。
  その外圧襲来の象徴が、名の通り「クロフネ」。
  大きく迫力ある体系の白い馬体が、
  伸び伸びとしたストライド走法で走っていく姿は
  まさに外車のダイナミックさ、そのものだった。
  前残りの展開、長い直線でも先行勢の序列が変わらない中
  ただ一頭、桁外れのスピードで突っ込んでくる。
  ただし、速さと言うよりは、もの凄いパワーを感じられるその説得力。
  最強世代と言われたこの代での、頂点が決められる5月27日まで
  高揚感を最大に煽られる一戦となった。
第1位
2004年 キングカメハメハ(安藤勝)
 NHKマイル→日本ダービーのいわゆる松国ローテ。
  師がこの戦略をようやく完成させたのがこの年。
  騎手は距離不足の感を否めないでいたが、
  いざ使ってみると圧巻の走り。
  やや雨に濡れた、緑一色の芝の中ほどに持ち出すと、
  ぐんぐんと伸び出しあっと言う間に先頭に。
  更に後続を引き離す姿は、
  あのナリタブライアンのダービーを思い出させた。
  着差もそれと同じく5馬身差
  しかしこちらの方は、最後に手綱を緩める余裕があった。
  こんな走りをされようものなら、
  ダービーを勝たれるのも至極当たり前のことだった。
番外
2007年 ピンクカメオ(内田博)
 雨が降る中、馬場は稍重。
  芝や泥が飛び交う、過酷な馬場状態だった。
  前走の桜花賞で14着と大敗した、17番人気の彼女は
  このレースでも前が壁になる不利を受け、かなり苦しい競馬をしていた。
  残り400mしか無いところで最後方。
  何とか大外に持ち出して、最後の末脚に賭けようとするところ
  ここで鞍上も驚くほどの鬼脚を炸裂させた。
  かつて同じ勝負服で外からごぼう抜きしたブロードアピールのように、
  1番人気のローレルゲレイロが、何とか先頭に辿りついたところを
  全17頭をまとめて交わす鮮やかな差し切り!
  内田騎手は、これがJRAGT初制覇。
  3着にはシンガリ人気の馬が入り、
  GT史上最高額(当時)、三連単900万円越えの激波乱!
  あれだけの素晴らしい切れ味が
  なぜこのレースだけしか見られなかったのかが、実に不思議だ。


 
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