第3位
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2002年 ファインモーション(武豊) |
この世代の牝馬は、2歳戦から一貫して女王不在の年だった。
圧倒的な人気を得るものもなし、それなりの人気に応える者もなし。
ところが、突如として女王のオーラを存分に兼ね備えた少女が現れた。
4連勝の負けなしでローズSを制したファインモーションは
その勢いのまま、GTに登場。
前哨戦と同じく、持ったままで後続馬をちぎり捨てた。
勝ち時計もレースレコードと同タイムで
ケチをつけるところなど、どこにも無し。
いったいどこまで強くなるものなのか、この時点で誰もわからなかった。 |
第2位
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2005年 エアメサイア(武豊) |
圧倒的なスピードを武器に、桜花賞・NHKマイルを制したラインクラフト。
経験を積むながら、徐々に実力をつけ
オークス二着ののち、坂のある阪神2000mで
そのマイル女王を僅差下したエアメサイア。
この二強が決着をつけるのに
平坦2000mの京都内回りは絶妙のコース設定だった。
単勝オッズは、ラインクラフトが1.8倍。エアメサイアは2.5倍。
3番人気が一気に上がって20.6倍という通り、
ファンもこの二頭の一騎撃ちを信じて疑わなかった。
ラインクラフトは前目に位置取り、エアメサイアはじっと後方待機。
予定通りに、直線でラインクラフトが抜け出し、
スピードを生かして粘りこみを図る。
そして後方から一完歩ずつ追いかけてきたのは、やはりこの馬だった。
両馬の間隔は徐々に狭まり
大白鳥が待つゴール板に二頭が鼻面を併せてゴールイン。
わずかにクビ差前に出ていたのがエアメサイアだった。
母エアデジャヴーが取れそうで取れなかったGTのタイトルを
見事に娘が手中に収めた。 |
第1位
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2007年 ダイワスカーレット(安藤勝) |
この年は至上最高レベルのメンバーが集まった。
ダイワスカーレット・ローブデコルテの両牝馬クラッシック覇者はもちろん、
NHKマイルを制したピンクカメオ、
それから阪神JFの勲章に加えて、ダービー馬というとてつもなく大きな
肩書きを持つウオッカ。
いつもの秋華賞ではありえない、のべ5つのGTタイトルを持つ名牝が集結した。
さらに成長著しいベッラレイアなどを加えて繰り広げられた世代対決は、
桜花賞馬ダイワスカーレットの勝ちで幕を閉じた。
二番手ながら、常に安藤騎手が手綱を引っ張りながら
レースをすすめたスカーレットだったが、
やっと折り合いがついたのは先頭に立った4コーナーだった。
並の馬の場合、ここで一気にお釣りが無くなって
馬群に飲み込まれていくのがお決まりのパターンだが、
この名牝は違った。
レインダンスとウオッカがいよいよ交わす勢いでやってきたかと思ったら
残り1馬身あまりのところで、縮まっていた差が詰まらなくなった。
そのまま時間が止まったかのようにゴールだけが近づき、
その差は最後まで保たれ続けた。
道中の口向きの悪さは、かかって体力を消耗していた訳ではなく
単純にスピードと勝負根性があり溢れていた状態だったようだ。
ウオッカとダイワスカーレットの最強牝馬論争は
この後、延々と討論されることになっていくが、
初めて私が訪れた京都の舞台で、
その名牝伝説の一端を目撃できたことは
一競馬ファンとして非常に誇らしい。 |
番外
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1986年 メジロラモーヌ(河内) |
今回のランキングは、3歳牝馬三冠目ということで
秋華賞開設以前のエリザベス女王杯も選出範囲に入れていたが、
近年の秋華賞のレベルが高いゆえに、惜しくもマイベスト3から外れてしまった。
しかしながら、旧エリザベス女王杯でも名レースは多く、
単勝4万馬券を叩き出した'89のサンドピアリス、
岡潤一郎騎手唯一のGT勝ちである '91リンデンリリー、
ベガの三冠を阻んだのは、「ベガはベガでもホクトベガ」'93、
3冠のうち外国産馬が唯一出走できるこのチャンスをものにした
'94ヒシアマゾンなども捨て難いが、
一つだけ選ぶとしたら、敬意を込めて
メジロラモーヌの初の牝馬三冠達成だろう。
桜花賞・オークスに加えて、それぞれの前哨戦をも完勝。
もちろん本レースの前走、ローズSも取りこぼさなかった。
本番では、3コーナー過ぎで早めに仕掛け
杉本アナに「河内、河内、早いのか、これでいいのか!」と怒られてしまったが、
追い込みを図るスーパーショットの追撃をギリギリ振り切って、
競馬史に残る偉業を達成した。
重賞6連勝は、当時としては新記録であった。 |