同郷の仲間、竹園オーナーと岩本調教師がタッグを組み、1000万円で落札したのがこの
馬。早くからオーナーが目をつけており、低価格ながらも落札したのは予定通りのことであっ
た。
デビューは1998年夏、勝利を挙げられず、しかも骨折を発症し休養を余儀なくされた。年が
明け、３戦目のマル市・マル抽限定の未勝利戦でようやく初勝利。陣営はまだこの馬の成長
には時間がかかると判断し、クラシック登録は行っていなかった。ところが、続くゆきやなぎ
賞、さらに毎日杯を連勝し、急遽追加登録料200万円を支払って皐月賞に出走した。この投
資が後にとてつもない金額で帰ってくることになる。
雨の降る、決して良いとはいえないコンディションの中、大外からの直線一気で先頭ゴール
イン。名伯楽野平祐二氏をして、「これまでの日本競馬のレベルを超えた走り」と言わしめた。
日本ダービーはナリタトップロードとの争いの最中、武豊騎乗のアドマイヤベガにまんまと交
わされ３着敗退。秋は、京都大賞典で叩いての菊花賞、２番人気に推されたがナリタトップロ
ードにわずかに届かず惜敗。勝ちに行ったステイヤーズステークスでも取りこぼした。この年
最後の有馬記念は、伝説的レースとなった、グラスワンダー・スペシャルウィークの大接戦に
迫る３着で終え、同期の３強と呼ばれたアドマイヤベガ、ナリタトップロードより高い評価を得
て、最優秀３歳牡馬部門を受賞した。
20世紀最後の年の翌2000年になると、京都記念・阪神大賞典を問題なく勝利し、春の天皇
賞で世代最強を証明。続く宝塚記念ではグラスワンダーなどを負かし、文句無く現役最強の
座に就いた。秋も、京都大賞典を勝つと、１番人気が勝てないと言われていた秋の天皇賞を
快勝。ジャパンカップでは、世界チャンピオンのファンタスティックライトなども下して優勝。年間
無敗という空前絶後の記録がかかった有馬記念は、終始後ろに封じられる展開であったが、
最後の直線で絶望的な位置から馬群をこじあける好走を見せ、見事に８連勝の快挙を成し
た。同時に秋季ＧⅠ３競走制覇の２億円ボーナス（外国産馬なら１億円）を初めて獲得し、満
票で年度代表馬に選出された。
世紀が明けた2001年、産経大阪杯を初戦としたが、まさかのトーホウドリームの４着に敗
退。しかし天皇賞・春では、メイショウドトウを昨年の宝塚記念から通算５回目となる２着に封
じて見事に勝利し、メジロマックイーン以来となる連覇、秋を含めると天皇賞３連覇という離れ
業を見せた。ところが宝塚記念では、４コーナーの不利もあり、遂にメイショウドトウに先着を
許した。
秋緒戦の京都大賞典は１位入線のステイゴールドが、ナリタトップロードを落馬させて失格
となったため繰り上がり優勝となり、ラッキーな形での重賞最多勝タイに並んだが、天皇賞は
一つ下のアグネスデジタル、ＪＣでは二つ下のジャングルポケットに屈し、いずれも２着。引退
レースとなった有馬記念ではまたも二つ下・マンハッタンカフェの５着となり世代交代を突きつ
けられた形でターフを去った。しかし、丸２年間の間、ＧⅠ・ＧⅡ戦線で全て一番人気に支持さ
れ続け、最後まで現役最強を認められていた。また、獲得賞金は18億円を超え、歴代馬の中
でも断トツ。世界にも例が無い。付加金やボーナスを含めると総獲得額は20億円余りとなる。 |
