衝撃の七冠馬
ディープインパクト





 有名馬を数多く輩出し、年々その名を上げていたセレクトセールの出身。当歳で7000万円
にて落札されたが、馬格が小さいこともあり、サンデーサイレンス産駒14頭中9番目と、評価
はいまいちであった。

 初戦の追い切りでもの凄い時計を出すと、新馬戦を圧勝。続く若駒ステークスでは最後方
から豪快に差し切り、メディアでも大々的に取り上げ始められる。弥生賞を辛勝、皐月賞はス
タート直後につまづくアクシデントに見舞われながらも、最後の直線で楽に差し切り当然の如
くGT馬の仲間入りを果たした。口取りでは、武豊が高々と一本指を突き上げ、事実上の三
冠達成宣言を行った。ダービーでは単勝支持率73.4%を叩き出す人気ぶり。これは、ダービ
ー史上最高、GTでもファンにリアルタイムでオッズを表示するようになって以降、最高の記録
となった。レースは後方につけるマイペースの形から、直線で一気に抜け出し5馬身差の圧
勝。ダービータイレコード、単勝配当110円のもと、意図も簡単に無敗でダービーを制した。

 夏は札幌競馬場で過ごし、休み明けとなる神戸新聞杯を軽く優勝。迎えた菊花賞はダービ
ーを更に超える単勝支持率79.0%の評価を受け、単勝オッズは1.0倍となった。今までに見せ
なかった折り合いを欠く様子を見せたものの、粘るアドマイヤジャパンを捕らえ、史上6頭目の
三冠馬、シンボリルドルフ以来2頭目の無敗三冠達成を成した。古馬初対決のレースは有馬
記念を選んだ。文句なくファン投票1位に選ばれての出馬だったが、先行策に切り替えたハー
ツクライに半馬身及ばず、初の黒星を喫する。中山史上2番目に多い15万の大観衆で満たさ
れた競馬場はゴールの瞬間、かつてハイセイコーがダービーで敗れたときのような沈黙で覆
われた。

 しかし、翌年阪神大賞典で他の出走馬たちを全く問題にせず優勝。春の天皇賞は3コーナ
ーから一気にスパートすると、直線入り口で先頭に立ち、スタミナも豊富にあることを示す競馬
を見せ、レコードで快勝。阪神改装のため再度京都で行われたGT宝塚記念では、悪天候の
中ぬかるんだ馬場もものともせず、4馬身差を以って、ここも楽勝した。

 日本全国の期待を受け凱旋門賞に出走。現地へ応援に駆けつけた日本人ファンの影響も
あり、ここでも一番人気に支持された。ヨーロッパ特有のスロー競馬の中では先行する形にな
ったが、終始折り合いの着く絶好の流れ。しかし最後の直線で伸びを欠き、3歳馬・牝馬に差
される形になり3位入線の敗北。改めて日本馬遠征の難しさを思い知らされることとなった。さ
らに後日、使用禁止薬物が検出され、失格処分となった。

 国内に帰っての末2戦はその鬱憤を晴らす快勝劇で、ジャパンカップは殿一気、有馬記念
は4コーナーでのひとまくりで史上最強クラスの力を改めて見せ付けた。武豊は最後の有馬
記念が生涯最高のレースであったと言っている。同日、引退式を行いターフを去った。堂々2
年連続の年度代表馬に輝くなど、現役時代での派手なパフォーマンスの裏では、騎手が馬を
なだめるのに非常に苦労したり、蹄が薄くて蹄鉄が打てず、接着装蹄を試みたりなどといった
関係者の数多くの努力があった。

 数多居るサンデーサイレンス後継種牡馬の最有力として期待されていたが、早速初年度で
2歳リーディングに輝くと、翌年から早々とクラシックホースが出現、順調な種馬生活のスター
トを切った。当初はマイラー専用かという風潮もあったが、三冠牝馬ジェンティルドンナをはじ
め、ダービー馬を5頭も出すなど、GT・重賞を制した馬は数知れず、押しも押されもしない内
国産種牡馬のエースの座に就いた。英仏のクラシック産駒も生まれ、リーディングサイアーを
7年連続('18現在)獲得するなど、日本競馬の繁殖勢力地図を塗り替えた、偉大な父の功績
を再現するかのような大活躍ぶりである。

種別 内国産馬・市場取引馬
性別
毛色 鹿毛
生存期 2002.3/25-2019.7/30
サンデーサイレンス
ウインドインハーヘア
競争成績 JRA13戦12勝・海外1戦0勝
計14戦12勝
12-1-0-1
総収得賞金 14億5455万1000円
馬主 金子真人
金子真人ホールディングス
生産 ノーザンファーム
調教師 池江泰郎
勝負服
脚質
JRA賞 2005年度代表馬
2005年度最優秀3歳牡馬
2006年度代表馬
2006年度最優秀4歳以上牡馬
選考年 2008年
繁養 社台スタリオンステーション
主な産駆 コントレイル(皐月賞・日本ダービー・菊花賞・ジャパンC
             ・ホープフルS)
ジェンティルドンナ(桜花賞・オークス・秋華賞
             ・ドバイシーマC・JC2回・有馬記念)
グランアレグリア(桜花賞・安田記念・マイルCS2回
             ・スプリンターズS・ヴィクトリアマイル)
ラヴズオンリーユー(オークス・Qエリザベス2世C
             ・BCフィリー&メアターフ)
フィエールマン(菊花賞・天皇賞春2回)
シャフリヤール(日本ダービー・ドバイシーマC)
ワールドプレミア(菊花賞・天皇賞春)
サトノダイヤモンド(菊花賞・有馬記念)
アルアイン(皐月賞・大阪杯)
マリアライト (宝塚記念・エリザベス女王杯)
ショウナンパンドラ (JC・秋華賞)
ヴィブロス(ドバイターフ・秋華賞)
エイシンヒカリ (香港C・イスパーン賞)
グローリーヴェイズ (香港ヴァーズ2回)
ミッキークイーン (オークス・秋華賞)
ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル2回)
ミッキーアイル (マイルCS・NHKマイルC)
リアルインパクト(安田記念・ジョージライダーS)
ディープブリランテ(日本ダービー)
キズナ(日本ダービー)
マカヒキ(日本ダービー)
ワグネリアン(日本ダービー)
ロジャーバローズ(日本ダービー)
ディーマジェスティ(皐月賞)
シンハライト(オークス)
マルセリーナ(桜花賞)
アユサン(桜花賞)
ハープスター(桜花賞)
ジャスティンパレス(天皇賞春)
スピルバーグ(天皇賞秋)
レイパパレ(大阪杯)
ポタジェ(大阪杯)
リアルスティール (ドバイターフ)
サトノアラジン(安田記念)
ダノンキングリー(安田記念)
トーセンラー(マイルCS)
ダノンシャーク(マイルCS)
ラキシス (エリザベス女王杯)
ジュールポレール(ヴィクトリアマイル)
アカイトリノムスメ(秋華賞)
ケイアイノーテック(NHKマイルC)
キラーアビリティ(ホープフルS)
ダノンプラチナ(朝日杯FS)
サトノアレス(朝日杯FS)
ダノンプレミアム(朝日杯FS)
ジョワドヴィーヴル(阪神JF)
ショウナンアデラ(阪神JF)
ダノンファンタジー(阪神JF)
アンジュデジール (JBCレディスクラシック)
レッドキングダム(中山大障害)
スノーフォール(英オークス・愛オークス・ヨークシャーオークス)
オーギュストロダン(英ダービー)
スタディオブマン(ジョッケクルブ賞(仏ダービー)
サクソンウォリアー (英2000ギニー・レーシングポストT)
ファンシーブルー(ディアヌ賞(仏オークス)ナッソーS
ビューティーパーラー(仏1000ギニー)
トーセンスターダム(豪トゥーラックハンデキャップ・エミレーツS)
フィアースインパクト(豪トゥーラックハンデキャップ・カンタラS
                ・マカイビーディーヴァS)
プロフォンド(豪スプリングチャンピオンS)
ブリッツフィナーレ(菊花賞馬キセキの母)
他、重賞勝ち馬多数
主な記録 三冠馬
無敗三冠馬
親子2代無敗三冠馬(仔:コントレイル)
GT最多勝(7勝)
GT最多1番人気優勝(7勝・当時)
GT最高単勝支持率(リアルタイムオッズ導入後)
デビュー後連続1番人気(14連続)
全レース1番人気(1.3倍以内・JRA)
日本調教馬初の世界ランキング1位(芝部門・長距離部門)
10年連続JRAリーディングサイアー<〜2021更新中>
最長産駒連続週勝利(JRA・269週)
ダービー馬7頭輩出

年月日 競馬場 競走名 距離 頭数 人気 着順 タイム 騎手 1着馬(2着馬)
041219 阪神
新馬 2000 9 1 1 2:03.8 武豊 (コンゴウリキシオー)
050122 京都
若駒S 2000 7 1 1 2:00.8 武豊 (ケイアイヘネシー)
050306 中山 U 弥生賞 2000 10 1 1 2:02.2 武豊 (アドマイヤジャパン)
050417 中山 T 皐月賞 2000 18 1 1 1:59.2 武豊 (シックスセンス)
050529 東京 T 東京優駿(日本ダービー) 2400 18 1 1 2:23.3 武豊 (インティライミ)
050925 阪神 U 神戸新聞杯 2000 13 1 1 1:58.4 武豊 (シックスセンス)
051023 京都 T 菊花賞 3000 16 1 1 3:04.6 武豊 (アドマイヤジャパン)
051225 中山 T 有馬記念 2500 16 1 2 2:32.0 武豊 ハーツクライ
060319 阪神 U 阪神大賞典 3000 9 1 1 3:08.8 武豊 (トウカイトリック)
060430 京都 T 天皇賞・春 3200 17 1 1 3:13.4 武豊 (リンカーン)
060625 京都 T 宝塚記念 2200 13 1 1 2:13.0 武豊 (ナリタセンチュリー)
061001 ロンシャン T 凱旋門賞 2400 8 1 失格
武豊 レイルリンク
061126 東京 T ジャパンカップ 2400 11 1 1 2:25.1 武豊 (ドリームパスポート)
061224 中山 T 有馬記念 2500 14 1 1 2:31.9 武豊 (ポップロック)

※タイムの青背景はレコード

サンデーサイレンス Halo Hail to Reason Turn-to
Nothirdchance
Cosmah Cosmic Bomb
Almahmoud
Wishing Well Understanding Promised Land
Pretty Ways
Mountain Flower Montparnasse
Edel Weiss
ウインドインハーヘア Alzao Lyphard Northern Dancer
Goofed
Lady Rebecca Sir Ivor
Pocahontas
Burghclere Busted Crepello
Sans Le Sou
Highclere Queen's Hussar
Highlight

テイエムオペラオー
ウオッカ

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