大井でデビュー戦を8馬身ちぎり、その後も平均着差9.3馬身という成績を片手に中央へ乗
り込んできた馬。それがハイセイコーだった。中央デビューの弥生賞には、なんと12万3千も
の観衆が詰め掛けた。その弥生賞・スプリングSを勝利。皐月賞も、外に膨れながらも、直線
を向くと危ないところを全く見せずに勝利。新聞には「野武士登場」と書きはやされ、競馬ファ
ンだけでなく、日本全国民に知られるアイドルホースとなった。
ダービーTRのNHK杯も難なく制し完全に死角がなくなると、ダービーでは27頭の超多頭数
立てにもかかわらず、単勝支持率66.7%を集め、圧倒的な一番人気に指示された。ところ
が、最後の直線でタケホープに交わされて3着。超満員の場内は一瞬静まり返ったと言う。
再び、菊花賞でタケホープと対決。今度は抜け出したハイセイコーに、タケホープがジリ脚で
迫りゴール前で同時に並んだ大接戦だったが、写真判定の結果はタケホープ先着。またもラ
イバルに屈した。年度代表馬には選ばれなかったが、あまりの人気により、今の特別賞に相
当する「大衆賞」を作らせるに至った。
その後も変わらず一番人気に指示され続けたが、勝ちきれず、遂に4歳の宝塚記念で2番
人気に陥落。しかしこのレースはレコードで勝利。ラストランの有馬は、タケホープにとってもラ
ストランだったが、最後はライバルに先着。そして引退のときに作られた、主戦増沢騎手が唄
う「さらばハイセイコー」という曲は大ヒットになった。
種牡馬としては完全にタケホープを上回り、またダービー馬カツラノハイセイコを出し、2代に
わたって念願のダービーをものにした。そして、これまでハイセイコーの実力を超える馬は数
多く出てきたが、この馬の人気を超えるほどの馬は未だに出てきていない。 |