種牡馬となったシンボリルドルフの一年目の種付け相手として、長浜牧場ではもともとオー
クス馬トウカイローマンとの配合を視野に入れていたが、彼女の現役続行が決まったことによ
り、代わりに選ばれたのは妹のトウカイナチュラル。そして生まれたのがテイオーであった。
ルドルフの初年度産駒としてデビューした彼は、12月の中京新馬戦から勝利を重ね、重賞
初挑戦となった皐月賞を、大外枠から見事に快勝し無敗の皐月賞馬に輝いた。続くダービー
も大外の単枠指定となったが、二着のレオダーバンに3馬身の差を以って、圧勝。父、シンボ
リルドルフと同じく、無敗でのダービー勝利を実現させた。無論2代続けての無敗三冠を目指
すはずだったが、ダービー直後に骨折が判明。あっさりと三冠の夢は絶たれた。ここから向か
うところ敵無しだった彼のキャラクターが一変する。
復帰した翌年は岡部幸雄が手綱を取り、20キロ増もものともせず産経大阪杯を楽勝。岡部
は、「地の果てまでも駆けていってしまいそうだ。」と彼を評した。迎えた天皇賞は、昨年の覇
者である現役最強馬メジロマックイーンとの対決に盛り上がった。二強対決と信じられていた
このレースは、直線半ばでテイオーがずるずる後退。マックイーンが連覇を飾ったその後ろで
テイオーは5着と惨敗した。そして二度目の骨折が彼を襲っていたことが間もなく明らかにな
った。
早くもその年の秋の天皇賞までに復帰へ漕ぎ着けたが、ハイペースに巻き込まれ7着敗
退。その力に疑問が持たれたままでの、ジャパンカップ出走となった。国際GTレースに認定
され、「史上最も豪華なメンバーが集まった」と言われたこのJCでは5番人気に評価が下がっ
たが、好位抜け出しでナチュラリズムとの競り合いを制し、3回目のGT勝利。鞍上岡部が珍
しくガッツポーズをし、再度の復活を競馬界に示した。
ところが続く有馬記念の鞍上に乗るはずだった岡部は騎乗停止。代わりに田原成貴騎手が
起用されたが、どうしたことか11着と大惨敗。ゲートで脚を滑らし腰を痛めたとも言われたが、
寄生虫駆除の下剤をレース直前に飲んで体調が最悪だったこともあった。5歳の春に雪辱を
果たすべく、調教を続けたが、またしても骨折。再復帰までにまるまる一年を費やしてしまっ
た。
迎えた鞍上は再び田原騎手。GT馬は半数の7頭というメンバー中、4番人気で迎えたが、
4コーナーから徐々に先頭に取り付き、最後の直線ではこの年の年度代表馬となった3歳最
強馬ビワハヤヒデとの叩きあいの末、先着。長期休み明けからの快走はまさに奇跡の復活で
あった。田原騎手もインタビューで涙を浮かべ、中山競馬場は感動一色に染まった。
まだ獲得していない天皇賞のタイトル獲りに向け現役続行を決意したが、またも骨折。遂に
引退し種牡馬になった。父としては、これまでにトウカイポイント・ヤマニンシュクル・ストロング
ブラッドと三頭のGT馬を出し、スピードシンボリ・シンボリルドルフから続く日本屈指のサイア
ーラインを繋げるに至っている。 |