戦後、競馬が復活してから間もなく、彼女は現れた。2戦目の勝利から順調に勝ち星を
増やして、皐月賞出走。牡馬に混ざりながらも、得意の道悪(稍重)にも恵まれ、後続に6
馬身つける快勝を見せた。続くダービーでは、皐月賞で負かしたマツミドリとの一騎打ちと
なり、わずか頭差で敗れた。マツミドリは、管理する大久保調教師が騎手時代に乗ってい
たダービー馬・カブトヤマの子で、格言「ダービー馬はダービー馬から。」の第一号のケース
となり、師は心境が複雑だったに違いない。
秋に牝馬限定のオークスを圧勝後、勝ち負けを繰り返し、30戦戦って引退した。
繁殖では、ダービー馬オートキツ・天皇賞馬オンワードゼア(後、有馬も勝利)と2頭の年
度代表馬を輩出し、名牝の座を揺ぎ無いものとした。 |