桜花賞
【レース概要】
 クラシックレースの開幕戦として、また、牝馬三冠レースの第1戦として知られる桜花賞
は、イギリス1000ギニーが手本であり、春での最強スピード牝馬を決めるレースとして、
戦前の創設以来現在も同じ趣旨で続いている。設立当初は「中山四歳牝馬特別」とし
て、戦後は京都のマイル戦に舞台が変わり、現在の呼称となった。'50から仁川に移行、
'04から外国産馬にも開放。その名の通り、毎年きれいな桜が咲き誇る阪神競馬場の下
で行われている。

 牡馬の皐月賞と比較すると、このレースはオークスと並んで牝馬クラシックの双璧をな
し、マイル戦にも関わらず、このレースを勝利することは非常に誉れ高い。

 長い間、2コーナーポケットからすぐにコーナーに入るという、枠の有利不利が顕著でか
つ危険なコース形態が問題視されていたが、阪神競馬場の外周り増設改修によって'07
より、向こう正面ストレートコースでのスタートが実現した。

【'12までのレースの傾向】
 外周りの新コースになって7年目。470m以上の長さを誇る直線と最後の急坂がある。直線入り口から半分ほど登りが続く東京と趣は違うが、若い牝馬にとってはそれに匹敵するほど、あまりに過酷なコース形態だ。マイル戦特有のスピード競馬よりかは、確実に底力が要求される。だが枠順や脚質などの傾向は、意外にも旧コースのそれに近づきつつある。

 さすがにクラシックだけあって、前走大敗したような馬は勝ち目に遠い。これの例外にあたる馬の前走はやはり1番人気で、それなりの実力を一度示していないと難しい。近年はマイル以上のレースを一度は制していることが、勝ち馬の条件になっている。

≪レース観戦のポイント=ペース・決め手
人気馬の信頼度(過去10年)<やや高い>
  1番人気【3-4-1-2】
  2番人気【4-1-0-5】
  3番人気【1-1-1-7】
  4番人気【0-1-2-7】
  5番人気【0-0-3-7】
 1番人気馬は単勝オッズが低いほど信用できる。倍率3倍以上になると0勝二着2回と信頼度はやや落ちるが、とは言っても1番人気馬全体の複勝率は80%。下位人気の連対例は少なく、それなりに平穏なレース。'08こそ歴史的な激波乱となったが、基本的に勝つのはせいぜい6番人気ぐらいまでだ。新コース変更後はより堅く納まる傾向が強くなっている。
脚質<フラット>
 (過去10年)
  逃げ【0-1-0-9】
  先行【5-2-3-27】
  差し【2-6-5-70】
  追込【3-1-2-42】
 (過去6年・外回り変更後)
  逃げ【0-1-0-5】
  先行【2-1-2-24】
  差し【2-3-3-36】
  追込【2-1-1-22】
 最後の直線が長いため追い出しのタイミングが難しく、序盤の激しい位置取りも無くなったため、理論的には、旧コースよりスローになる可能性が高いと思われた。しかし、やはりここはGT。年により、旧コースを思わせる「魔の桜花賞ペース」が出現する時もある。テンが速くなれば、馬場状態もあるが末脚命の大外一気も見られる。スローなら、折り合いよく前目に付けることができ、かつ上がりがまとめられる能力がいる展開に。流れにより、逃げ切りも追い込みもあり得なくは無い。
枠順<内枠が苦しい>
 (過去10年)
  1枠【0-0-0-19】
  2枠【0-0-1-19】
  3枠【0-0-1-19】
  4枠【1-3-0-15】
  5枠【5-0-1-14】
  6枠【0-0-3-17】
  7枠【2-4-3-21】
  8枠【2-3-1-24】
 (過去6年・外回り変更後)
  1枠【0-0-0-12】
  2枠【0-0-1-11】
  3枠【0-0-0-12】
  4枠【1-1-0-9】
  5枠【3-0-0-9】
  6枠【0-0-2-10】
  7枠【1-2-2-13】
  8枠【1-3-1-13】
 旧阪神1600mコースは外枠不利と言われ続けていたが、実は桜花賞で苦しかったのは内枠。多頭数で揉まれるのが原因だったか。その傾向は新コースでも受け継がれつつあり、外枠有利の数字が出ている。桜花賞以外の阪神1600ではむしろ内枠よりのほうが有利なのだが、3コーナーまで馬群一団というケースでもなければ、外枠に不利な点は無さそうだ。
臨戦過程(過去10年)<チューリップ賞組優勢>
  チューリップ賞   【5-4-3-26】
  フラワーC      【2-2-1-11】
  フィリーズレビュー【2-0-2-53】
  エルフィンS     【1-1-0-1】
  クイーンC     【0-3-2-15】
 前走チューリップ賞組が圧倒。GVながら本番と同コース同距離の上、前評判の高いメンバーが多く出走していることも大きい。出走頭数こそ少ないが、中山のフラワーC組も優勝・連対率が高く侮れない。一方、GUのフィリーズレビューは1400mなのでスプリント能力に長けているメンバーが挑戦している。その結果、マイルの桜花賞には対応するのがやや難しくなっている。
 キャリア3・4戦の活きのいい馬の好走率が高く、注意すべき。5戦はまあまあ。2戦以下は2着が一回のみ。一方の6・7戦も連対率10%未満で苦しい。また、阪神コースで実績を持っている馬は心強い。

管理人が選ぶ桜花賞ベスト3

 
阪神・芝・1600m・3歳・牝
優勝馬
性年
タイム
騎手
備考
2013 アユサン 牝3 1'35"0 C.デムーロ
2012 ジェンティルドンナ 牝3 1'34"6 岩田康誠
2011 マルセリーナ 牝3 1'33"9 安藤勝己
2010 アパパネ 牝3 1'33"3 蛯名正義
2009 ブエナビスタ 牝3 1'34"0 安藤勝己
2008 レジネッタ 牝3 1'34"4 小牧太
2007 ダイワスカーレット 牝3 1'33"7 安藤勝己
2006 キストゥヘヴン 牝3 1'34"6 安藤勝己
2005 ラインクラフト 牝3 1'33"5 福永祐一
2004 ダンスインザムード 牝3 1'33"6 武豊
2003 スティルインラブ 牝3 1'33"9 幸英明
2002 アローキャリー 牝3 1'34"3 池添謙一
2001 テイエムオーシャン 牝3 1'34"4 本田優
2000 チアズグレイス 牝3 1'34"9 松永幹夫
1999 プリモディーネ 牝3 1'35"5 福永祐一
1998 ファレノプシス 牝3 1'34"0 武豊
1997 キョウエイマーチ 牝3 1'36"9 松永幹夫
1996 ファイトガリバー 牝3 1'34"4 田原成貴
1995 ワンダーパヒューム 牝3 1'34"4 田原成貴 京都・1600m
1994 オグリローマン 牝3 1'36"4 武豊
1993 ベガ 牝3 1'37"2 武豊
1992 ニシノフラワー 牝3 1'37"5 河内洋
1991 シスタートウショウ 牝3 1'33"8 角田晃一 京都・1600m
1990 アグネスフローラ 牝3 1'37"1 河内洋
1989 シャダイカグラ 牝3 1'37"5 武豊
1988 アラホウトク 牝3 1'34"8 河内洋
1987 マックスビューティ 牝3 1'35"1 田原成貴
1986 メジロラモーヌ 牝3 1'35"8 河内洋
1985 エルプス 牝3 1'36"9 木藤隆行
1984 ダイアナソロン 牝3 1'36"1 田原成貴
1983 シャダイソフィア 牝3 1'40"5 猿橋重利
1982 リーゼングロス 牝3 1'36"3 清水英次
1981 ブロケード 牝3 1'41"3 柴田政人
1980 ハギノトップレディ 牝3 1'36"2 伊藤清章
1979 ホースメンテスコ 牝3 1'41"0 佐々木晶三
1978 オヤマテスコ 牝3 1'36"9 福永洋一
1977 インターグロリア 牝3 1'37"5 福永洋一
1976 テイタニヤ 牝3 1'36"7 嶋田功
1975 テスコガビー 牝3 1'34"9 菅原泰夫
1974 タカエノカオリ 牝3 1'37"0 武邦彦
1973 ニットウチドリ 牝3 1'35"4 横山富雄
1972 アチーブスター 牝3 1'37"6 武邦彦
1971 ナスノカオリ 牝3 1'39"9 嶋田功
1970 タマミ 牝3 1'37"9 高橋成忠
1969 ヒデコトブキ 牝3 1'36"6 久保敏文
1968 コウユウ 牝3 1'37"6 清水出美
1967 シーエース 牝3 1'38"8 高橋成忠 京都・1600m
1966 ワカクモ 牝3 1'39"5 杉村一馬
1965 ハツユキ 牝3 1'38"5 加賀武見
1964 カネケヤキ 牝3 1'41"1 野平祐二
1963 ミスマサコ 牝3 1'40"1 瀬戸口勉
1962 ケンホウ 牝3 1'38"9 野平好男
1961 スギヒメ 牝3 1'38"3 諏訪眞
1960 トキノキロク 牝3 1'40"5 杉村一馬
1959 キヨタケ 牝3 1'39"6 蛯名武五郎
1958 ホウシユウクイン 牝3 1'38"6 上田三千夫
1957 ミスオンワード 牝3 1'38"8 栗田勝
1956 ミスリラ 牝3 1'40"8 柴田不二男
1955 ヤシマベル 牝3 1'38"6 清田十一
1954 ヤマイチ 牝3 1'40"4 八木沢勝美
1953 カンセイ 牝3 1'39"8 森安弘明
1952 スウヰイスー 牝3 1'38"6 保田隆芳
1951 ツキカワ 牝3 1'39"2 清田十一
1950 トサミツル 牝3 1'40"4 境勝太郎
1949 ヤシマドオター 牝3 1'40"6 八木沢勝美 京都・1600m
1948 ハマカゼ 牝3 1'41"2 松本実 京都・1600m
1947 ブラウニー 牝3 1'42"4 武田文吾 京都・1600m
1946
1945
1944 ヤマイワイ 牝3 1'55"0 前田長吉 東京・1800m
1943 ミスセフト 牝3 1'55"2 佐藤勇 中山・1800m
1942 バンナーゴール 牝3 1'55"8 宮沢今朝太郎 中山・1800m
1941 ブランドソール 牝3 1'54"4 阿部正太郎 中山・1800m
1940 タイレイ 牝3 1'56"8 保田隆芳 中山・1800m
1939 ソールレデイ 牝3 2'02"8 石毛彦次郎 中山・1800m

※'59までのタイムは1/5秒単位計測により、1/10秒単位に概算して表示。 

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