【'12までのレースの傾向】
コーナーを4つ廻り、最後の直線が短いため、小回り適正すなわち脚捌きの器用さが求められる。実力があっても脚を余すケースが多々見られ、レースが荒れることも珍しくない。三冠を達成した馬たちの着差を見ても、他のクラシックと比べてあまり差が着かない傾向にあり、最初にして最大の関門だ。そんな中でも天性による能力の高さは必須で、デビュー戦で圧勝していたような馬や、2勝以上挙げている実績馬が多く勝ち星を挙げている。前走惨敗した馬でも、前々走で上位争いをしたような実力がないと難しい。
「速い馬が勝つ」と言われるものの、厳しい坂を2回上るため、スピード頼りの馬では通用せず、それなりにスタミナも要求される。皐月賞馬が菊花賞で好走する例が時々あるのはそれが要因の一つだからだ。先行馬にしても差し馬にしても、中距離に対応できうるスピードの持続能力が試される。
≪レース観戦のポイント=スピードの持続力・小回り適正≫
|
●人気馬の信頼度(過去10年)<低い>
1番人気【3-2-1-4】
2番人気【0-2-2-6】
3番人気【1-0-3-6】
4番人気【2-0-1-7】
5番人気【0-0-0-10】
1番人気馬の勝率・連対率・三着内率はまあまあの数字か。ただし過去5年に絞ると、優勝馬は一頭しか出ていないので要注意。2・3番人気の勝率・連対率も低い。6番人気以下が5勝二着6回で、これが大きく配当を荒らす要因になっている。6〜10番人気あたりで穴馬を狙ってみるのも面白いかも。 |
●脚質(過去11年・'11除く)<逃げ・先行が通用>
逃げ【2-1-1-7】
先行【3-2-2-33】
差し【4-4-5-65】
追込【1-3-2-45】
直線の短い小回りコースらしく、脚質は逃げ・先行、あるいは好位につけられる馬が比較的力を発揮しやすい。差し・追込み馬はキレ味よりも、末脚の持続力をいかに発揮できるかが問われ、さらにコーナーでの加速力、または馬群を割る器用さが絶対必要。いずれにしても3コーナーあたりから早めに仕掛けなくてはならず、直線勝負に徹するのは無謀に近い。逆に言えば、ここを追い込んで勝つほどの能力がある馬は、複数のGTを射止める器の持ち主という証明になる。時計もかかり消耗戦となるので、早めの仕掛けから4コーナーまでにロスなくスムーズに前目の位置を取ることがポイントだ。
|
●枠順(過去11年・'11除く)<フラット>
1枠【1-2-1-16】
2枠【1-1-0-17】
3枠【2-1-2-15】
4枠【0-0-1-19】
5枠【0-4-1-15】
6枠【0-0-2-18】
7枠【4-0-2-24】
8枠【2-2-1-25】
中山2000は一般に内枠有利だが、皐月賞はそれには該当しない。開催末ではあるが、季節柄、早い芝の成長と、あまり使われていない内回りのバックストレッチの恩恵でそれほど馬場は悪くならない。よって馬場の内外差は意識する必要がない。また最初のコーナーまでの距離も充分あるので、枠順の差はほとんど無い。数字で見ると7・8枠の値が高いが、毎年のフルゲートにより分母が大きいので、勝率ではフラットだ。 |
●臨戦過程(過去10年)<弥生賞・スプリングS組優勢>
スプリングS 【5-3-1-49】
弥生賞 【3-3-5-34】
若葉S 【1-4-1-16】
共同通信杯 【1-0-2-7】
京成杯 【0-0-1-3】
主なステップは、弥生賞・スプリングS・若葉Sから。勝馬・連対馬は、やはり本番と同じ中山のGUトライアル組からが大半で、近年はスプリングS組がわずかに優位。きさらぎ賞・ラジオNIKKEI杯の連対馬も注意すべきだが、朝日杯FSの上位組は結果を出せていない。また毎日杯組・きさらぎ賞からの直行組も三着すらない。キャリアは3〜5戦ほどで、基本的に少ない方が良い。 |
●牝馬(過去10年)<出走さえ稀>
【0-0-0-0】
'91ダンスダンスダンス(5着)以来出走がなく、最近牝馬とは全く無縁のレース。優勝馬は太平洋戦争直後のトキツカゼ・ヒデヒカリの2頭。競争の呼称が「皐月賞」になる以前のお話。 |