安田記念
【レース概要】
 明治・大正・昭和とわたって競馬に携わり、競馬法の制定やダービーの設立に尽力し
た、初代日本中央競馬会理事長の安田伊左衛門氏の功績を称えてできたのが安田賞
である。氏の没後'58には安田記念に改称された。'93からは国際競争に指定。設立以来
'60・61を除き、マイル戦でずっと行われ、春のマイラーナンバーワンを決めるレースとして
続いている。正式には「農林水産省賞典安田記念」。東京競馬場改修後の馬場は良好
で、1分32秒台のタイムが連発するスピード競馬が展開されている。

 歴史は長いが、現在のような位置付けが認められたのは、'84年のグレード制が敷か
れ、年齢は4歳以上、斤量がハンデから定量に変わった時から。GT格として扱うのはこ
の年からとすべき、という意見もある。'96年にダービー翌週の開催になってから再び3歳
馬も出走可能になり、世代を超えた春の最強マイラー決定戦という位置づけにはなった
が、さすがにまだこの時期では3歳馬にとって敷居が高いレースだ。

 '05年からはアジアマイルチャレンジを構成する事になったのもあり、香港を中心に外国
馬の参加・台頭も目立つようになってきた。

【'12までのレースの傾向】
 短距離でありながらも、厳しい直線を持つ東京競馬場で行われるためか、生粋のマイラーだけでなく中距離型の優勝馬も数多く存在する。意外とこのレースは連覇が難しく、むしろマイルCSとの連覇というケースの方が多い。外国馬・外国産馬が結果を出し易いGT。実績のある香港馬は抑えておきたい。また、関東馬も比較的頑張っている。それから前走2・3着からの巻き返しが目立つ。

 スローペースになることは少なく、全体的に淀みの無い流れになる。自然とタイムも速くなるが、それは3コーナーまでの直線が長いこと、序盤は下り坂であることで走りやすいためもあり、テンのペースはそれほど気にする必要はない。しかし長い直線で生きる、最後の決め手のスピードは、絶対に邪魔になることはなく、上がり3ハロンの最速持ちタイムは、速ければ速いほど心強い。

≪レース観戦のポイント=決め手・タイム
人気馬の信頼度(過去10年)<非常に低い>
  1番人気【1-0-1-8】
  2番人気【3-1-0-6】
  3番人気【1-1-1-7】
  4番人気【1-1-0-8】
  5番人気【0-2-3-5】
 先週のダービーから一転、1番人気馬はここ10年で1着が一回だけと、全く信頼できず、かと言って2・3番人気が多く勝っているわけでもなく、大変予想の難しいレースとなっている。馬連万馬券は10年中5回で、珍しくも何ともない。その一員は最重要ステップレースである京王杯スプリングC組の不振、サンデーサイレンス産駒の不振が挙げられるが、そんな中でも前走3着以内の馬が力を発揮している事実があり、つかみ所が決して無いわけではない。10番人気以下のGT馬が連対することもしばしばで、忘れかけた実力馬の存在も侮れない。
年齢(過去10年)<高齢馬が有利>
  3歳【1-0-0-1】
  4歳【1-4-2-36】
  5歳【1-3-3-53】
  6歳【6-0-5-32】
  7歳【1-3-0-23】
  8上【0-0-0-5】
 定量戦になってしばらくは4・5歳馬の勝率が高かったが、'01から6・7歳馬の優勝が7年連続して続いた。最も高齢馬が活躍するGT。ただ最近4年に限れば、3歳馬リアルインパクトの優勝などもあって、世代間のバランスが取れてきたようにも見える。なお、7歳以上の連対馬は、外国馬や外国産馬が目立つ。
脚質(過去10年)<逃げだけやや不利>
  逃げ【0-1-0-9】
  先行【3-2-3-24】
  差し【6-4-4-80】
  追込【1-3-3-36】
 脚質は東京コースらしく後方から差してくる馬が中心だが、先団や好位付近から早めに仕掛けて粘りきるケースも目立つ。ただし、そのタイプには500キロを超える大型馬が多いことが特徴。
枠順(過去10年)<やや真ん中枠が苦しい>
  1枠【1-1-1-17】
  2枠【4-1-3-12】
  3枠【1-2-0-17】
  4枠【1-0-1-17】
  5枠【0-2-0-18】
  6枠【0-1-1-18】
  7枠【2-1-0-27】
  8枠【1-2-3-24】
 最初のコーナーまで距離が充分にあるため、枠順の有利不利はあまりないはずだ。ただ、内や外の枠に勝ち馬が固まっている。真ん中枠の騎手は、左右両方に気を使わなくてはいけないのが、ややスムーズなレース運びを阻害しているのか。
臨戦過程(過去10年)<主要GU組が苦戦>
  京王杯SC    【2-3-1-44】
  ヴィクトリアM   【2-0-1-11】
  チャンピオンズM 【1-1-2-17】(香港)
  産経大阪杯    【1-1-1-1】
  ドバイDF     【1-1-0-1】(UAE)
 京王杯スプリングCとマイラーズC、安田記念のためにあるような主要なGUからは、新世紀以降非常に苦しい。3着までに誰も来ないケースが増え、年が近くなるにつれて酷くなっている。さらにここで大負けした馬は巻き返しが極めて難しい。その一方で、新設GTヴィクトリアマイル組の牝馬が結果を出し始めている。それから海外GTや高松宮記念など、前走GTを使ったメンバーの方が好感を持てる。
牝馬(過去10年)<GT馬なら>
  【2-1-1-22】
 他の牡牝混合GTに比べ出走数が多い牝馬だが、並の馬ではかなり苦しい。ちなみに連対したウオッカ・スイープトウショウはどちらもGT馬。実績がないと勝ち負けにならない。

管理人が選ぶ安田記念ベスト3


東京・芝・1600m・3歳上
優勝馬
性年
タイム
騎手
備考
2013
2012 ストロングリターン 牡6 1'31"3 福永祐一
2011 リアルインパクト  牡3 1'32"0 戸崎圭太
2010 ショウワモダン 牡6 1'31"7 後藤浩輝
2009 ウオッカ 牝5 1'33"5 武豊
2008 ウオッカ 牝4 1'32"7 岩田康誠
2007 ダイワメジャー 牡6 1'32"3 安藤勝己
2006 ブリッシュラック 騙7 1'32"6 B.プレブル
2005 アサクサデンエン 牡6 1'32"3 藤田伸二
2004 ツルマルボーイ 牡6 1'32"6 安藤勝己
2003 アグネスデジタル 牡6 1'32"1 四位洋文
2002 アドマイヤコジーン 牡6 1'33"3 後藤浩輝
2001 ブラックホーク 牡7 1'33"0 横山典弘
2000 フェアリーキングプローン 騙5 1'33"9 R.フラッド
1999 エアジハード 牡4 1'33"3 蛯名正義
1998 タイキシャトル 牡4 1'37"5 岡部幸雄
1997 タイキブリザード 牡6 1'33"8 岡部幸雄
1996 トロットサンダー 牡7 1'33"1 横山典弘
1995 ハートレイク 牡4 1'33"2 武豊 4歳上
1994 ノースフライト 牝4 1'33"2 角田晃一 4歳上
1993 ヤマニンゼファー 牡5 1'33"5 柴田善臣 4歳上
1992 ヤマニンゼファー 牡4 1'33"8 田中勝春 4歳上
1991 ダイイチルビー 牝4 1'33"8 河内洋 4歳上
1990 オグリキャップ 牡5 1'32"4 武豊 4歳上
1989 バンブーメモリー 牡4 1'34"3 岡部幸雄 4歳上
1988 ニッポーテイオー 牡5 1'34"2 郷原洋行 4歳上
1987 フレッシュボイス 牡4 1'35"7 柴田政人 4歳上
1986 ギャロップダイナ 牡6 1'35"5 柴崎勇 4歳上
1985 ニホンピロウイナー 牡5 1'35"1 河内洋 4歳上
1984 ハッピープログレス 牡6 1'37"8 田原成貴 4歳上
1983 キヨヒダカ 牡5 1'35"8 増沢末夫
1982 スイートネイティブ 牝5 1'35"0 岡部幸雄
1981 タケデン 牡6 1'36"7 増沢末夫
1980 ブルーアレツ 牡5 1'36"0 嶋田功
1979 ロイヤルシンザン 牡4 1'35"7 的場均
1978 ニッポーキング 牡5 1'35"1 郷原洋行
1977 スカッシュソロン 牝4 1'35"1 横田吉光
1976 ニシキエース 牡5 1'36"6 森安重勝
1975 サクライワイ 牝4 1'36"6 小島太
1974 キョウエイグリーン 牝5 1'35"7 東信二
1973 ハクホオショウ 牡4 1'35"7 伊藤正徳
1972 ラファール 牝4 1'38"4 中島啓之
1971 ハーバーゲイム 牝4 1'36"8 野平祐二
1970 メジロアサマ 牡4 1'35"9 矢野一博
1969 ハードウエイ 牝4 1'35"9 加賀武見
1968 シエスキイ 牡5 1'36"7 郷原洋行
1967 ブツシヤン 牡5 1'36"3 大和田稔
1966 ヒシマサヒデ 牡4 1'39"5 小野定夫
1965 パナソニツク 牝5 1'37"6 嶋田功
1964 シモフサホマレ 牡5 1'37"2 油木宣夫
1963 ヤマノオー 牡4 1'36"6 森安弘明
1962 トウコン 牡4 1'38"3 山岡サ
1961 ホマレボシ 牡4 1'49"7 八木沢勝美 東京・1800m
1960 オンワードベル 牡4 1'50"2 高橋英夫 東京・1800m
1959 ヒシマサル 牡4 1'37"6 小野定夫
1958 ラプソデー 牡4 1'37"4 坂本栄三郎
1957 ヘキラク 牡4 1'38"8 蛯名武五郎
1956 ヨシフサ 牡4 1'38"4 渡辺正人
1955 クリチカラ 牡5 1'38"8 森安弘明
1954 フソウ2 牡4 1'41"4 高橋英夫
1953 スウヰイスー 牝4 1'38"2 保田隆芳
1952 スウヰイスー 牝3 1'39"0 保田隆芳
1951 イツセイ 牡3 1'38"0 保田隆芳

※'59までのタイムは1/5秒単位計測により、1/10秒単位に概算して表示。 

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