有馬記念(グランプリ)
【レース概要】
 春の日本ダービーの華やかさに比較して、秋にも大レースをと、中山大障害が作られ
たが、盛り上がりに今ひとつ欠けていた。そこで、有馬頼寧理事長は野球のオールスタ
ー戦にならい、ファン投票によって出走馬を決める「中山グランプリ」を設立した。しかし第
1回の成功直後、有馬理事長は急死したため、第2回以降は理事長の功績を称え、「有
馬記念」と改称された。そして当レースは創設以来現在まで、競馬ファンのみならず、日
本人全般が、ダービーと並んでよく知る大レースとして、当初の設立目的を果たしてい
る。現在では日本で、そして世界で最も売上の高いレースの一つとなった。'07より国際
競争となったが、JRA年度代表馬を決するのにも非常に大きな影響を与え、まさにその
一年の国内競馬を象徴し、締めくくるレースでもある。

 同時に、古馬による競馬の祭典として名勝負を数多く産み出し、このレースを以って引
退する名馬も多く、そのため最も感動を与えるGTレースであると言えよう。

【レースの傾向】
 かつては冬枯れの茶色い馬場が風物詩だったが、近年はオーバーシードされたきれいなグリーンの芝が生え揃い、速いタイムも出る高速馬場での舞台に変わってきている。

 距離は2500mと長距離の部類に入るが、コーナーを5つ廻る特殊なコースで、中盤一気にペースが落ちる事がままある。たまにハイペースになり、純粋にスタミナを求められることもあるが、例年それだけでは対応できず、ペース変化や小回りコースに対応できる器用さ、若しくは短い距離でトップスピードに入れるマイラーのような反応の良さが、必要とされる能力となる。

 スタートしてすぐにコーナーに入るため、最初の位置取りは軽視できない。逃げ・先行馬は内にスムーズに潜り込まないと、思ったより後ろになるか、外々を廻らされる。後方待機勢でも躊躇していると、徐々に圧縮する馬込みに押されて前が詰まり、やはり想定より後ろのポジションに押し込まれてしまう。その中途半端な状態で大歓声が上がるスタンド前を通過する時に折り合いを欠くと、もうどうにも抑えが利かなくなってしまう。

 道中は淡々と流れて行くが、最後の直線が短いためか、3コーナーに入るところから騎手の動きがにわかに慌しくなってくる。近年にありがちなスローペースになるとその傾向はより顕著で、残り1000mからの長い末脚比べとなることが多い。典型的追い込み馬の直線一気はまず見られず、最後方が指定席という馬でも早め早めに動いていかなければならない。コース形態や仕掛けが早くなるという点では宝塚記念と似ている点が多く、実際に同年で両グランプリを制覇している例が幾つか見られる。

 他のGTに比べ関東馬が頑張っており、サンデーサイレンス産駒に代表されるヘイルトゥリーズン系は外せない。また480kgを超える大型馬の活躍が目立つ。最後に中山適性馬も是非チェックしておきたい。

≪レース観戦のポイント=一周目4角までの位置取り・仕掛け所
人気馬の信頼度(過去10年)<やや高い>
  1番人気【5-3-0-2】
  2番人気【3-0-0-7】
  3番人気【0-1-2-7】
  4番人気【1-1-0-8】
  5番人気【0-1-0-9】
 全体的に平穏で、1番人気馬が好走し易いレースだが、しばしば先行タイプの穴馬が入着・あるいは優勝し大波乱が起こる。また三着には5番人気以内の馬が二頭だけと、より穴馬が入り込みやすく、3連勝馬券が魅力的だ。
年齢(過去10年)<4歳有利>
  3歳【3-4-2-31】
  4歳【6-2-2-22】
  5歳【1-2-3-27】
  6歳【0-0-1-22】
  7上【0-2-2-12】
 年齢的には近年4歳馬が圧倒的に有利、3歳馬なら菊花賞や天皇賞など、GT中のGTで勝ち負けしていたような実力が求められる。5歳以上なら、三着が狙いだ。連対馬から3・4歳馬共外れたケースは'82まで遡る。'98のグラスワンダー以降3着以内に入線した馬のうちで、3歳馬は翌年4歳として出走するとほとんど連対しているが、昨年4歳で連対した本年5歳馬はすべて着外に敗れるというデータもある。
脚質(過去10年)<先行有利>
  逃げ【1-2-0-8】
  先行【5-4-6-25】
  差し【3-3-3-40】
  追込【1-1-1-40】
 基本的に差し馬は、直線入り口で先頭集団を捕らえられないようだと難しい。数字上では追い込み馬でも対応できるように見えるが、実際には3コーナー手前あたりから早めに動いていかないと厳しい展開になる。逃げ切り・逃げ粘りも可能だが、できれば制約が少ない先行馬の方が安心してレースができる。
枠順(過去10年)<多頭数の外枠は不利>
  1枠【3-2-0-9】
  2枠【1-0-3-11】
  3枠【1-2-1-13】
  4枠【0-3-3-13】
  5枠【2-2-1-14】
  6枠【1-0-1-18】
  7枠【0-0-1-19】
  8枠【2-1-0-17】
 スタートしてすぐコーナーに入るので、先行タイプの馬は内枠が欲しいところだ。後方勢も外を廻り続けるのは避けたいので、外枠は原則不利。8枠だけは、序盤で自分より外を全く気にする必要性も無く、作戦が限られるため、かえって余計な事を考えなくて良いので、かえって乗り易いのかもしれない。ただし連対しているのは、フルゲートに満たない年での話だが。
臨戦過程(過去10年)<王道のGT連戦組が中心>
  ジャパンC   【6-3-3-56】
  天皇賞・秋  【3-0-2-5】
  菊花賞    【1-2-1-6】
  エリザベス杯 【0-2-0-5】
  メルボルンC 【0-1-0-1】
 年度末の大一番なので、古馬はジャパンCから・3歳馬は菊花賞からと、当然ながら牡馬のGT王道路線を歩んできた馬達が強い。また油断ならないのは秋の天皇賞から、ジャパンCをパスして直行してきた組。
牝馬(過去10年)<牡馬混合戦の実績が必要>
  【1-3-0-11】
 牝馬だけのレースでしか戦っていない馬や、勢いだけで昇って来た馬ではなかなか太刀打ちできない。他の中距離以上のGTやGUで、実際に一流牡馬達と実力で勝ち負けしたような確固たる実績がないと、上位に食い込んでくるのはなかなか難しい。

管理人が選ぶ有馬記念ベスト10

 
中山・芝・2500m・3歳上
優勝馬
性年
タイム
騎手
備考
2013
2012 ゴールドシップ  牡3 2'31"9 内田博幸
2011 オルフェーヴル 牡3 2'36"0 池添謙一
2010 ヴィクトワールピサ 牡3 2'32"6 M.デムーロ
2009 ドリームジャーニー 牡5 2'30"0 池添謙一
2008 ダイワスカーレット 牝4 2'31"5 安藤勝己
2007 マツリダゴッホ 牡4 2'33"6 蛯名正義
2006 ディープインパクト 牡4 2'31"9 武豊
2005 ハーツクライ 牡4 2'31"9 C.ルメール
2004 ゼンノロブロイ 牡4 2'29"5 O.ペリエ
2003 シンボリクリスエス 牡4 2'30"5 O.ペリエ
2002 シンボリクリスエス 牡3 2'32"6 O.ペリエ
2001 マンハッタンカフェ 牡3 2'33"1 蛯名正義
2000 テイエムオペラオー 牡4 2'34"1 和田竜二
1999 グラスワンダー 牡4 2'37"2 的場均
1998 グラスワンダー 牡3 2'32"1 的場均
1997 シルクジャスティス 牡3 2'34"8 藤田伸二
1996 サクラローレル 牡5 2'33"8 横山典弘
1995 マヤノトップガン 牡3 2'33"6 田原成貴
1994 ナリタブライアン 牡3 2'32"2 南井克巳
1993 トウカイテイオー 牡5 2'30"9 田原成貴
1992 メジロパーマー 牡5 2'33"5 山田泰誠
1991 ダイユウサク 牡6 2'30"6 熊沢重文
1990 オグリキャップ 牡5 2'34"2 武豊
1989 イナリワン 牡5 2'31"7 柴田政人
1988 オグリキャップ 牡3 2'33"9 岡部幸雄
1987 メジロデュレン 牡4 2'33"9 村本善之
1986 ダイナガリバー 牡3 2'34"0 増沢末夫
1985 シンボリルドルフ 牡4 2'33"1 岡部幸雄
1984 シンボリルドルフ 牡3 2'32"8 岡部幸雄
1983 リードホーユー 牡3 2'34"0 田原成貴
1982 ヒカリデユール 牡5 2'36"7 河内洋
1981 アンバーシャダイ 牡4 2'35"5 東信二
1980 ホウヨウボーイ 牡5 2'33"7 加藤和宏
1979 グリーングラス 牡6 2'35"4 大崎昭一
1978 カネミノブ 牡4 2'33"4 加賀武見
1977 テンポイント 牡4 2'35"4 鹿戸明
1976 トウショウボーイ 牡3 2'34"0 武邦彦
1975 イシノアラシ 牡3 2'38"1 加賀武見
1974 タニノチカラ 牡5 2'35"9 田島日出雄
1973 ストロングエイト 牡4 2'36"4 中島啓之
1972 イシノヒカル 牡3 2'38"5 増沢末夫
1971 トウメイ 牝5 2'36"0 清水英次
1970 スピードシンボリ 牡7 2'35"7 野平祐二
1969 スピードシンボリ 牡6 2'35"1 野平祐二
1968 リユウズキ 牡4 2'46"2 森安弘明
1967 カブトシロー 牡5 2'39"7 大崎昭一
1966 コレヒデ 牡4 2'37"0 保田隆芳
1965 シンザン 牡4 2'47"2 松本善登 中山・2600m
1964 ヤマトキヨウダイ 牡4 2'45"1 梶与四松 中山・2600m
1963 リユウフオーレル 牡4 2'42"5 宮本悳 中山・2600m
1962 オンスロート 牡5 2'44"4 山岡サ 中山・2600m
1961 ホマレボシ 牡4 2'40"8 高松三太 中山・2600m
1960 スターロツチ 牝3 2'44"5 高松三太 中山・2600m
1959 ガーネツト 牝4 2'50"9 伊藤竹男 中山・2600m
1958 オンワードゼア 牡4 2'49"2 八木沢勝美 中山・2600m
1957 ハクチカラ 牡4 2'49"0 安田隆芳 中山・2600m
1956 メイヂヒカリ 牡4 2'43"2 蛯名武五郎 中山・2600m

※'58までのタイムは1/5秒単位計測により、1/10秒単位に概算して表示。 

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