【レースの傾向】
阪神の内回りよりも最後の直線が短い小回りコースだが、開幕から間もない高速馬場の恩恵もあり、'00以降の勝ち時計は全て2分を切っている。そんな忙しい競馬の中、大歓声が上がり馬の折り合いに大きく影響するスタンド前での発走、すぐ来る1コーナーの前での位置取りの決し方、展開・ペースの読み、短い直線を念頭に置いての仕掛け所の判断、混雑する4コーナーでのさばき方と、レースのポイントが数多くあり、騎手にとってはその力量が試される難コースだ。同時に、もちろん馬の方には小回りコースを上手に立ち回れる器用さが求められる。
秋の3歳GTでは新勢力の台頭が気になるところだが、このレースは桜花賞馬・オークス馬を加えて通算勝ち数の多い、場数を踏んだ馬たちの勝負になるケースが目立つ。逆にこれらを下した新星が現れれば、それは稀に見る凄い能力を持った馬と言うことになる。あるいは古馬と対戦した経験があれば、一発穴を開ける可能性が秘められている。
≪レース観戦のポイント=騎手のかけひき・小回り適正≫
|
●人気馬の信頼度(過去10年)<単勝オッズによる>
1番人気【2-2-3-3】
2番人気【7-0-1-2】
3番人気【0-2-0-8】
4番人気【0-0-1-9】
5番人気【0-2-1-7】
開設当初は荒れるGTの代名詞だったが、21世紀に入ってからは概ね人気馬が実力通りに力を発揮する堅いGTに変化してきた。面白いことに、2番人気の馬が'03〜'07まで5年連続で優勝するなど、圧倒的に勝ち数が多い。単勝3倍以上の1番人気馬は勝ち星が無く、そのオッズの数字が馬券の荒れ具合を示しているという見方もできる。穴馬を選ぶには、古馬との対戦経験があったほうが良いかをチェックした方が良い。 |
●脚質(過去10年)<差し有利>
逃げ【1-0-1-10】
先行【2-4-2-29】
差し【6-5-6-59】
追込【1-1-1-52】
小回りコースで最後の直線も短く、急坂も無いため、一見先行馬が有利なように見える。しかしスタートしてすぐコーナーに入るため、先行争いが激しくなりペースは一様に速くなる。中間のラップも落ちず、息を入れにくい。洋芝も混ざった適度に力のいる馬場の中、GTであるこのレースに関しては、先行策で押し切るのはかなりの能力が必要。ゴールが近いからといって、早めに仕掛けてしまうと、ゴール寸前で捕まってしまう。過去10年中、4コーナー先頭で押し切ったのはダイワスカーレットのみで、一般的には差し馬の方が有利。 |
●枠順(過去10年)<中央より外枠がやや有利>
1枠【0-2-0-18】
2枠【2-0-3-15】
3枠【1-1-2-16】
4枠【0-0-0-20】
5枠【1-2-0-17】
6枠【3-1-2-14】
7枠【2-0-2-26】
8枠【1-4-1-24】
京都内回りは内枠有利かと思いきや、このレースでは先行馬は乱ペースに巻き込まれ易く、外から被せられる差し馬の方は身動きできなくなる心配が大きい。そうなると、終始内に張り付いてひたすらコースロスを抑えるしかない。ただ、馬群をさばくことができれば人気薄でも一気に有利になることがある。 |
●臨戦過程(過去10年)<ローズS組が圧倒>
ローズS 【8-8-3-54】
クイーンS 【1-1-2-6】
オークス 【1-0-0-11】
紫苑S 【0-0-1-36】
関西馬が強いからでもあるのだが、前哨戦は有力馬のほとんどがローズSを使い、そこで3着以内に入着した馬から良い結果が出ている(5-8-3-14)。関東のトライアル・紫苑Sをステップにして連対を果たした馬は一頭も出ておらず、紫苑S3着以下に至っては一頭も馬券に絡んでいない。その他では夏のクイーンSからや、オークスからの直行組が活躍している。ただ休み明けで勝ちに行くには、GT馬ほどの実力が無いと難しい。 |